昇圧剤の使い方と希釈表、γ計算

1γとは?計算の方法は?

ここに50kgの人と100kgの人がいるとします。同じ量の薬を投与して同じように効くでしょうか?体が大きい人の方が薄まりそうですよね。γは投与量を体重と時間で割って体格差を補正するための単位で、

1γ=1μg/kg/分 (1kg、1分あたり1μg投与)です。

50kg100kg
1γ=1μg/kg/分1γ=1μg/kg/分
1γ=60μg/kg/時1γ=60μg/kg/時x60
1γ=3000μg/body/時
 (=3mg/body/時)
1γ=6000μg/body/時
 (=6mg/body/時)
x体重
体重ごとの計算

って感じです。自分は体重50kgだけ「1γ=3mg/50kg/時」と覚えて、あとから補正しています。

後述する希釈例はあくまで例で、施設ごとの慣例もあるので適宜直して使ってください。

ちなみに体重も2倍3倍になると体組成も異なるし、代謝能力も倍にはならないので、若干の誤差は出ると思って最終的には効果をみて調整しましょう。

昇圧剤の使い分け

昇圧剤といっても主に心拍出量を増やすもの(心臓に負担がかかるともいう)と、主に血管を締めるもの(心臓への負担は少ないが臓器還流は減る)があります。循環器じゃなければノルアドレナリンばっか使うことになる気がするけど、ざっくりとは覚えておきましょう。

(心拍出増やす)ドブタミン〜ドパミン〜ノルアドレナリン〜バソプレシン(末梢締める)の順です。本当はアドレナリンとかミルリノンとかイソプロテレノールとかもあるんだけど、あとででいいかなって思います。

ノルアドレナリン 1mg/1mL【いちばん使う】

希釈例:ノルアドレナリン5A + 生食45ml (ノルアドレナリン5mg/50ml)

治療域は0.05〜0.3γ → 体重50kgなら0.15〜0.9mg/時 → 上の組成なら1.5〜9mL/時

敗血症性ショックの第一選択なのでいちばんよく使う

ドパミン 0.3%(3mg/mL) プレドパ、イノバンなど

治療域は1〜10γ → 体重50kgなら3〜30mg/時 → 1〜10mL/時

昔はノルアドレナリンよりよく使っていたと思う。虚血を起こしにくいという意味では使いやすい

ドブタミン 0.3%(3mg/mL)

治療域は1〜10γ → 体重50kgなら3〜30mg/時 → 1〜10mL/時 (ドパミンと同じ)

心拍出量を増やす(心臓の負担が大きい)。末梢はあんまり締めない。循環器が使う薬だと思ってる。

バソプレシン 20単位/1mL (ピトレシン)

V1受容体(血管平滑筋)とV2受容体(腎集合管)に作用してカテコラミンとは違う作用で昇圧する

最も強力に末梢血管を締めるので、腸管虚血や心筋虚血をきたしうるらしい。ホントに困った、ノルアド使ってるけどそれでも死にそうだって時だけ使うんだと思います。

心肺停止時は2A(40単位)i.v.

希釈例:ピトレシン5A+生食45ml(バソプレシン100単位/50mL)

敗血症性ショックでは0.033単位/分 = 2単位/時 → 上の例だと1mL/時

*食道静脈瘤破裂時は用量が違って0.1〜0.4単位/分だけど、それより物理的に止めに行かないと。 

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